2008年03月17日

コイルを含む回路の動作原理

電気回路の基本部品の一つであるコイルの動作原理について考えてみる。
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イメージ的にはコンデンサが電気をためるバケツのようなものに対し、コイルは空間に電気を貯めるという、少し直感的でない不思議な部品である。そしてコンデンサの静電容量Cは、貯めることの出来る電気の容量であり、コイルの自己インダクタンスLは空間への電気の貯めやすさである。

まず、式(1)はファラデーの電磁誘導の法則である。自己インダクタンスLの定義から(2)の式が求まり、電圧とコイルの関係が導き出せた。なおここでのマイナスはレンツの法則による逆起電力を意味するのものであり、今回は端子間の電圧降下として式を求めるので(3)とおく。次に(3)の式を積分すると(4)となる。コンデンサの時と同様に積分定数I0があるが、今回は初期電流である。そしてi(t)の式に等式変形すると、電流とコイルの関係が導き出せる。

実際に以下に回路における微分方程式の例を示す。
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t>0の時、回路に流れる電流をi、抵抗Rの電圧をVR、コイルLの電圧をVLとすると、キルヒホッフの第二法則より(1)となる。VLは最初の表(4)となり、VRはRiとなる。結果、(3)の微分方程式が導かれる。
ちなみにこの式の解を求めるにあたり、ラプラス変換やフェーザ表示による記号法など、代数演算によって解を求める簡単な方法が存在するので、別途解説する。


コンデンサを含む回路の動作原理

電気回路の基本部品の一つであるコンデンサの動作原理について考えてみる。
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まず、電流の定義から(1)の式が導き出される。同様に静電容量の定義より(2)及び(3)が導き出される。よって(1)の式は(3)により(4)と表すことができ、電流とコンデンサの関係が導き出せた。
ここで(4)の式を両辺積分すると(5)となる(ちなみに静電容量との混同を避けるために積分定数をV0とした。この積分定数は初期電圧を示している)。そしてv(t)の式に等式変形すると、電圧とコンデンサの関係が導き出せる。

実際に以下に回路における微分方程式の例を示す。
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t>0の時、回路に流れる電流をi、抵抗Rの電圧をVR、コンデンサCの電圧をVCとすると、キルヒホッフの第二法則より(1)となる。VCは最初の表(6)となり、VRはRiとなる。結果、(3)の微分方程式が導かれる。
ちなみにこの式の解を求めるにあたり、ラプラス変換やフェーザ表示による記号法など、代数演算によって解を求める簡単な方法が存在するので、別途解説する。

2008年03月15日

インピーダンス整合と最大電力

任意の回路に抵抗を接続した場合に、その抵抗で消費される電力が最大となるためには、接続される抵抗が任意の回路の内部抵抗と等しければよい。そのようになる理由を数式で説明する。
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上の図は電圧V、内部抵抗r1、接続される抵抗r2の回路図である。なお消費される電力が最大となる抵抗を探すためにr2は可変抵抗とした。
まず回路全体に流れる電流I(r1)を求める。電力を求める式P=VIをオームの法則により変形し、P=I^2Rを得るのでこれによりP(r2)を求める。関数P(r2)をr2で微分し、関数の値が0となるようなr2を探すとr2=r1となる。よってr2=r1をP(r1)に代入することによって最大値が得られる。

実用例としては、スピーカーやイヤホンなどの性能指標にインピーダンスとあるが、このインピーダンスの値と一致するような設計のアンプと一緒に用いることにより、最大の電力が供給される。結果的に音量など最適なコンディションで使用が可能となる。

鳳テブナンの定理

テブナンの定理(テブナンのていり, Thevenin's theorem)は、多数の直流電源を含む電気回路に負荷を接続したときに得られる電圧や負荷に流れる電流を、単一の内部抵抗のある電圧源に変換して求める方法である
テブナンの定理 - Wikipedia

つまりどんなに複雑な回路であろうが、局所的に見れば単一の定電圧源V'と内部抵抗R'の等価回路に置き換えが可能になり、容易に回路の解析が可能となる定理である。以下の図は簡単な説明である。
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左の図の破線で囲ってある回路網に外部抵抗Rが接続されている回路について考える。電源Vを理想源的な定電圧源、即ち内部抵抗0とすると、
R1及びR2は外部抵抗R側から見るとR'は合成抵抗である(1)となる。次に外部抵抗R側からみた開放電圧V'は(2)となる(開放電圧V'の考え方については、別途重ね合わせの原理を参考にすると良い)。よって(1)及び(2)より、回路に流れる電流(3)が求められ、左の図の回路となる。
ただし変形可能な回路は線形素子(抵抗、コイル、コンデンサ)を用いた線形的な回路に限定されるので注意したい。